咬合性外傷をご存じでしょうか。
咬み合わせの負担過重が原因で、歯の周りの組織に障害が及ぶ病気のことです。
歯のぐらつき、歯並びの変化、歯のすり減り、歯の破折、顎の筋肉の過緊張等が生じます。
歯周病にかかっていない健全な組織でも、歯ぎしりやくいしばりなど限界を超えた力がかかった場合に起こることがあります。
対策としては、噛み合わせの調整やマウスピースを装着することで、負担軽減を図ります。
また、歯周病で弱った歯に、負担がかかると、歯の動揺を引き起こすことがあります。
その場合は、動揺している歯の固定や噛み合わせの調整を行う場合があります。
歯周病の方やそうでない方でも、歯のぐらつき等、気になる場合は、歯科受診をお勧めいたします。
歯科治療を行う際、レントゲンを撮影することが度々あります。
限定された歯を精密に見るデンタルX線写真、
口腔内全体を診るパノラマX線写真、
歯科用CT画像、
の三つが主に用いられます。
1988年国連科学委員会の報告では、1年間普通に生活した場合、
世界平均で年間2400マイクロシーベルトの自然被ばくがあると報告されています。
高地など地域によっても差はあるようです。
身近な例として、東京ーニューヨーク間を飛行機で往復すると、
約190マイクロシーベルトの被ばくの可能性があるとされています。
さて、一般的な歯科用X線装置での被ばく量は、
デンタルX線写真では、10マイクロシーベルト、
パノラマX線写真では、30マイクロシーベルト、
歯科用CT画像では、100マイクロシーベルト、
との報告があります。
これらは、一般生活における自然被ばく量とかけ離れた数値ではありません。
被ばく量は少ない方がよいですが、歯科診療のために必要なX線撮影による被ばく量は、
安心な範囲と理解していただきたいと思います。
*松本歯科院では、モリタ製のデジタルレントゲン機器を使用しているため、従来のフィルムに比べて最大六分の一まで被ばく量を抑えた撮影が可能です。
歯と口の健康 アラカルト 大阪府歯科医師会より
歯みがきの際に、歯ぐきから出血することはあるでしょうか。出血の主な原因は歯ぐきの炎症(歯肉炎)です。
歯肉炎の歯ぐきにブラッシングなどの刺激が加わると比較的簡単に出血してしまします。重度な歯肉炎や歯周病も併発すると、刺激が加わらなくても出血することがあります。
出血してしまう恐怖心からブラッシングをしなくなってしまったり、うがい薬だけですませたり、ということになる方もおられます。そうなるとますます歯ぐきの状態は悪化してしまいます。
出血の度合いにもよりますが、ブラッシング後すぐに出血が止まるという事であれば、正しい方法でブラッシングすれば歯ぐきの状態が改善し、出血を減らしていくことが可能であると考えられます。
歯ブラシの種類も、かためを使われている方がおられますが、やわらかめで歯ぐきをマッサージするイメージの方がよいかもしれません。
日常飲まれているお薬によっても、歯ぐきを腫らして出血しやすくなるのもありますので、お口の状態に合わせた歯磨きが必要です。
歯ぐきからの出血が気になれば、歯科医院受診をお勧めします。
大阪府歯科医師会 歯と口の健康アラカルト より
吹田市の歯科健康健診にはいくつかあります。成人歯科健診をはじめ、妊婦歯科健診・6歳臼歯健診に加え、ここ数年で追加されたものもありますので、順番に挙げていきます。
乳幼児歯科健診 1.6歳児健診、2.6歳児健診、3歳児健診、歯科健診フォロー等があります。 受診場所は、保健センターもしくは南千里分館となっておりますので、歯科医院では行っておりません。
6歳臼歯健診 6歳の誕生月とその翌月に受診できます。
成人歯科健診 満30歳から74歳までの方や75歳以上で後期高齢保険非加入の方などが対象で、 誕生月またはその翌月に受診可能です。
よくある問い合わせですが、歯石除去は含まれておりません。
妊婦歯科健診 妊娠中に受診できます。この健診を受診された場合は、さきほどの成人歯科健診は受診控えてください。
期間については、とくに明記されていませんが、妊娠後期、とくに9か月以降の方は、安定期も終わり、 健診でむし歯等が見つかっても、治療にすぐ移行しないことが多いので、つぎの産婦歯科健診をおすすめしております。
産婦歯科健診 産後1年未満(お子さんの1歳の誕生日の前日まで)の方が受診できます。
後期高齢者医療歯科健診 大阪府後期高齢者医療保険の加入者の方が、受診できます。この健診は、吹田市が実施しているわけではありませんが、 吹田市民の方が、成人歯科健診の続きで、受診することになりますので、続いて記載しました。
いろいろありますねぇ、吹田市は、かなり健診事業が充実してるのではないでしょうか。
ここにはすべての受診時の注意事項や、期間外の場合の対応方法を記載していませんので、詳細は、吹田市ホームページや送付される書類を御確認ください。
各種健診を上手に利用され、早期むし歯発見に結び付くといいですねぇ。
歯がしみるのでむし歯と思い、歯科を受診したものの、むし歯ではないと言われたことはありませんか?
むし歯でなく、歯がしみるときは、知覚過敏症であることがあります。
歯の表面はエナメル質という、非常に硬い組織に覆われています。
しかし、歯の根元の部分の象牙質は、このエナメル質に覆われていません。
むし歯でなくても、この象牙質が露出してしまうと、少しの刺激で歯がしみるのです。
過度なブラッシング、酸食物の摂取、歯ぎしりや食いしばりなどが原因になります。
対応としては、しみているところに、知覚過敏の薬剤を塗布したり、歯ぎしり防止を図りマウスピースを装着することもあります。
症状が悪化し、歯の神経を取らないと症状が消えない場合もあるので、症状がある方は歯科受診をお勧めいたします。
歯と口の健康
アラカルト 大阪府歯科医師会より
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている昨今、学校や家庭においても、唾液による飛沫感染のリスクを考慮した、歯みがきやうがいが必要とされております。
日本歯科医師会のホームページには、動画「ウィズコロナ時代の歯のみがき方 口を閉じてみがきましょう」を掲載しております。その中で、歯みがき時に飛沫がどのくらい飛ぶのか、チリやホコリが無いクリーンルームで実験した結果、口を開けて、特に上の前歯の裏側をみがいた時に大量に飛沫が出ましたが、口を閉じて歯みがきをした際は、同じようにみがいても飛沫は飛び散らなかったようです。
また、学校や職場において集団で歯みがきを行う場合には、歯みがきの時間が重ならないように注意し、人との距離を保つこと、会話をしながら歯をみがかないように注意することを呼びかけておられます。
コロナ禍においてももちろん歯磨きは重要ですし、また唾液の飛沫防止を図ることはエチケットでありますので、ぜひ参考にされてはどうでしょうか?非常にわかりやすい動画になっております。
日本歯科医師会ホームページより
お口の病気って、むし歯や歯周病以外にも、粘膜疾患等いろいろあります。
今回はその一つ、白板症についてです。
白板症とは、お口の粘膜に白く板状・斑状にできた病変で、前癌病変です。
前癌病変とは、将来癌細胞に悪性変換する可能性を秘めた病変で、
白板症の癌化率は4.4%ー17.5%と報告されています。
白板症の中でも、組織診断で、軽度・中等度・重度と分類され、
重度だと癌化率は高く、もしくはすでに癌であるケースもあります。
治療法は、まず、組織診断(生検)をする、つまり局所麻酔をして、一部もしくは全部切除し、
顕微鏡で細胞を調べます。そして、重度であった場合、追加で切除手術を行ったりします。
見た目に明らかに軽度な場合は、生検をせず、定期的な経過観察のみ行うこともあります。
ただ、どちらにせよ、癌化率が4.4%ー17.5%という数字は、決して低い値ではないので、
お口の中で、白かったり、ただれている状態が発見されたら、すぐ受診されることをおすすめします。
松本歯科医院では、検査・手術が必要な場合、大阪大学歯学部付属病院をはじめ、徳洲会吹田病院・済生会吹田病院と連携しております。
引用元:医歯薬出版 口腔外科学 宮崎正 松矢篤三
子どもの歯の外傷はいろいろな発生状況があります。
未就学児であれば、転倒により歯の脱臼が多く、小学生になると歯の破折が増えてきて、中学生・高校生になると破折の頻度が多くなります。
バスケット、バレー、サッカーや野球等のクラブ活動中に起こることが多いようです。
最近は意識も高まり、マウスピースの装着で破折防止を図ることもあるようです。
実際に歯の破折が起こった場合、早急に歯科受診をしてください。
(もちろん頭部等ほかの受傷状況も見極めたうえで、です。)
抜けてしまった場合でも、早めの対応で歯がくっつく可能性があります。
自分で戻したりしてはいけません。受診までの間、抜けたり破折した歯の保存方法は、専用の保存液もあるのですが、普段から用意していることはないとおもいますので、牛乳に保存するのもありです。
本人のお口の中にくわせさせる方法もあるのですが、誤嚥誤飲のリスクがあるので、私はやめた方がいいと思います。
早めの対応で、歯がくっつきた場合でも、歯の神経自体はいったんちぎれているわけなので、根っこの治療も必要になるでしょう。
ケガしないでクラブ活動ができればもちろんいいのですが、なにかあった場合は、早めの受診をお勧めします。
歯と口の健康 アラカルト大阪府歯科医師会より
健康診断時に骨粗しょう症と診断される方もおられます。
骨粗しょう症とは、加齢に伴い、骨質や骨密度が低下して骨の強度が低くなり、軽い転倒でも骨折を起こしやすくなる病気をいいます。
骨粗しょう症自体による自覚症状はほとんどありませんが、背骨の変形や腰痛が生じたり、骨折を起こすと寝たきりになってしまうこともあります。
この骨粗しょう症の治療に使われているお薬として、ビスフォスファネート製剤やデノスマブなどがあります。
これら薬剤の副作用として、まれに顎骨壊死(あごの骨が腐る)を起こすことが知られています。
歯科治療において、抜歯やインプラント時、骨に外科的処置を受けた場合、通常なら自然治癒するところが、薬の影響で顎骨壊死を起こしてしまうことがあります。
ただ、すべての歯科治療に影響があるわけでなく、虫歯治療や入れ歯治療には支障ありません。
これらお薬は、投与する前に、説明をきっちり受けているはずですが、患者さんは歯科受診時にお薬手帳を持参されて、問診票等にも申告をきっちりなさってください。
スウェーデンにあるルンド大学の教授であったブローネマルクがチタン金属が拒絶反応を起こすことなく骨と結合する、オッセオインテグレーションを発見し、その後、イエテボリ大学にて研究し、純チタン製のデンタルインプラントを開発しました。
現在では、世界中で様々なインプラントが開発され、100種類以上、コピー品も含めると300種類以上あるといわれています。
しかしながら、歯周病により歯を失った患者さんの場合、口腔内に歯周病菌が多く存在するため、インプラント治療を行った際、再びそこにプラークが付着し、歯周病菌が繁殖しやすくなります。つまり、インプラントの歯周病=インプラント周囲炎に罹患するのです。
これを防ぐためには、日ごろからブラッシングや歯科医院でのプラークコントロールでしっかり歯周病菌を減らしておくことが重要です。
歯を失ってしまってから、さらにインプラント治療をする場合でも、歯周病菌との戦いは続きます、、、
歯と口の健康 アラカルト 大阪府歯科医師会より